機械系 Advent Calendar 2020 20日目の記事です。19日目はこちら。
 
 さて、先に断っておくと、タイトルから察せられる通り、TA2020を使ったデジタルアンプはまだ作っていない。作ったら記事を書こうと思っていたのだが、漠然と設計がうまく行ってない気がして手を付けられずにいたら1年半以上ほったらかしていた。そろそろ喝を入れようと思って、とりあえず先に記事を書くことにした(=Advent Calendarに便乗した)。


・そもそもTA2020ってなに

 今は亡きTripath社によるD級アンプICである。正確にはTA2020-020. ちなみに2020は別に2020年とは一切関係がない。2007年の時点で会社がぶっ潰れてるのでとっくの昔にディスコンになっているのだが、中古品が平然と出回っている、謎のICである。データシートはそのへんに転がってると思う。だいたいはキットとして売られているのだが、イチから作ってみようと思って、大学進学して上京してすぐアキバの若松で購入した。

 ヒートシンクには指紋がべったりである。中古だからね。
 デジタルアンプなので高効率であり、データシートでは88%を謳っている。32ピンなのだが、0.1インチ間隔で並んだ16ピンの列が、縦横に0.05インチずつズレて配置してある、いわゆる千鳥足ICなのでユニバーサル基板にはそのままでは刺さらない。

 脚を曲げるのは怖いのでここでプリント基板を設計して発注すればいいのでは!?!?!?!?という発想に至る。

・EagleでPCB設計しちゃう

 Eagleは、Autodesk社が提供するPCB設計ソフトウェアである。Schematicという回路図ファイルに配置したパーツや配線が、boardという基板レイアウトファイルに自動で反映される。非常に高機能だが、なんと、個人・非営利・80平方cm以内ならタダで使えちゃうという、とっても太っ腹なソフトなのである。自分でパーツを定義することもできるので、TA2020の脚のパターンを定義してやることで、とても楽に、かつミスなく設計が進むというわけである。

 さらにEagleには自動決戦結線機能が付いており、パーツ同士の配線を勝手にしてくれる機能がある。ただ今回は結局自分で全部結線しちゃったのでこの機能は使わなかった。
 
 結果、出来上がったのがこれである。

 なお今までPCBの設計をしたことは一度もないので100%めちゃくちゃである。しかも実はTA2020のパターンの定義をミスって鏡にしてしまったので、すべてのパーツを裏面から刺さないといけなくなってしまった(なかなか手をつけようと思わなかった理由の1つである)。
 基本的にデータシート通りではあるものの、入力のDCオフセット調整用に電源を分圧するポテンショメータを載せたほか、5Vの電源をIC内蔵の5VGEN(30番ピン)ではなく別途用意したレギュレータから供給するなどちょっと改造している。とはいえ音がよくなる保証もないし、仮に変わっても耳が肥えてないのでどうせわからない。

・発注する

 Eagleで設計したPCBのレイアウトはGerber形式で出力することができるので、これをネット上でアップロードするだけで基板が発注できてしまう。今回はPCBWayという格安PCB製作サービスを使った。サイズ次第では2層10枚で$5程度で作ってもらうことができる。まあ発送元が中国なので送料のほうが高いけど。
 2週間強で届いた。
 
 問題なさそうに見える。シルクもわりかしちゃんと印刷されている。


 部品買ったとこまでしかやっていなくてまだ組み立てていないので、紹介できるのはここまでである。正月休みか春休みに組み立てたいと思う。出来上がったら記事にする。

 21日目の記事はこちら。woodロボ氏より、基板CADについての記事です。本記事でも言及したEagleにも触れてあります。併せてご覧ください。

TA2020でデジタルアンプを作りたかった

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