ここ数ヶ月なんもブログ書いてないので電磁気の試験勉強がてら書く。


 

・前提

 ベクトルの二階微分を成分表記に頼らずに求めたいという気持ちで書いた軽い記事なので厳密性はない。
 またタイトルでは\(\mathrm{div,rot,grad}\)と書いているが、ついさっき言ったように成分表記に頼らずに求めたいので、式中ではナブラ:\(\nabla\)を使った表記に統一する。なお以下\(T\)はスカラー場、\(\boldsymbol h\)はベクトル場を表す。
 一応、表記の(3次元のときの)対応関係を記しておく。
$$\nabla=\left(\frac{\partial}{\partial x},\frac{\partial}{\partial y},\frac{\partial}{\partial z}\right)$$
$$\begin{eqnarray*}
\mathrm{div}\ \boldsymbol h&=&\nabla\cdot\boldsymbol h\\
\mathrm{rot}\ \boldsymbol h&=&\nabla\times\boldsymbol h\\
\mathrm{grad}\ T&=&\nabla T
\end{eqnarray*}$$

・組み合わせの種類

 ご存知の通り、\(\mathrm{div}\)はベクトル→スカラーの、\(\mathrm{rot}\)はベクトル→ベクトルの、\(\mathrm{grad}\)はスカラー→ベクトルの演算である。この3つを組み合わせるとき、

  • ベクトル → ベクトル → ベクトル
  • ベクトル → ベクトル → スカラー
  • ベクトル → スカラー → ベクトル
  • スカラー → ベクトル → ベクトル
  • スカラー → ベクトル → スカラー

という5つの組み合わせしかないのは容易に確認できると思う。それぞれを式で書くならば、

  • \(\mathrm{rot}\ \mathrm{rot}\ \boldsymbol h=\nabla\times(\nabla\times\boldsymbol h)\)
  • \(\mathrm{div}\ \mathrm{rot}\ \boldsymbol h=\nabla\cdot(\nabla\times\boldsymbol h)\)
  • \(\mathrm{grad}\ \mathrm{div}\ \boldsymbol h=\nabla(\nabla\cdot\boldsymbol h)\)
  • \(\mathrm{rot}\ \mathrm{grad}\ T=\nabla\times(\nabla T)\)
  • \(\mathrm{div}\ \mathrm{grad}\ T=\nabla\cdot(\nabla T)\)

である。上から順に①~⑤の番号を振って順にみていくが、③はあんまり簡単にならない(最終的に成分表記頼りになる)ので省略する。

・①rot rot

 これはベクトル3重積の公式
$$\boldsymbol a\times(\boldsymbol b\times \boldsymbol c)=(\boldsymbol a\cdot\boldsymbol c)\boldsymbol b-(\boldsymbol a\cdot\boldsymbol b)\boldsymbol c$$を使う。
\(\boldsymbol a=\boldsymbol b=\nabla, \boldsymbol c=\boldsymbol h\)とすれば、
$$\begin{eqnarray*}
\nabla\times(\nabla\times\boldsymbol h)&=&\nabla(\nabla\cdot\boldsymbol h)-(\nabla\cdot\nabla)\boldsymbol h\\
&=&\nabla(\nabla\cdot\boldsymbol h)-\nabla^2\boldsymbol h
\end{eqnarray*}$$である。ここで、$$\nabla\cdot\nabla=\nabla^2=\frac{\partial^2}{\partial x^2}+\frac{\partial^2}{\partial y^2}+\frac{\partial^2}{\partial z^2}$$はラプラシアンである。\(\Delta\)で書くこともあるがここでは\(\nabla^2\)表記にする。また、ナブラは左から作用する演算子なので第一項でナブラが左側についているのに注意したい。
 第1項は③の形なのでこれ以上簡単にならないが、この形にすると楽になることがある(クーロンゲージのように\(\nabla\cdot\boldsymbol h=0\)の制約が付いているときなど)。

・②div rot

 今度はスカラー3重積の公式
$$\boldsymbol a\cdot(\boldsymbol b\times \boldsymbol c)=\boldsymbol b\cdot(\boldsymbol c\times\boldsymbol a)$$を使う。
 先ほどと同様に\(\boldsymbol a=\boldsymbol b=\nabla, \boldsymbol c=\boldsymbol h\)とすれば、
$$\nabla\cdot(\nabla\times\boldsymbol h)=\nabla\cdot(\boldsymbol h\times\nabla)$$であるが、先ほども言った通りナブラは左から作用するので、右辺の外積の順序を入れ替えて
$$\nabla\cdot(\nabla\times\boldsymbol h)=-\nabla\cdot(\nabla\times\boldsymbol h)$$を得る。つまり、
$$\nabla\cdot(\nabla\times\boldsymbol h)=0$$である。

・④rot grad

 これは拍子抜けするような結果だが、\(T\)がスカラーであることを考えれば、$$\nabla\times(\nabla T)=(\nabla\times\nabla)T$$としてしまっていいことがわかる。よって、\(\nabla\times\nabla=0\)より$$\nabla\times(\nabla T)=0$$が得られる。
 これに関しては直感的説明のほうが良いかもしれないので書いておくが、\(\mathrm{grad}\)というのはいわゆる勾配である。もし勾配に回転があったら、螺旋階段のようにどんどん「上」に向かっていくことができてしまい、これはスカラー場が一つの位置で一意な値を持つことに反するので、\(\mathrm{rot}\ \mathrm{grad}\ T=0\)なのだ、と考えてもいい。

・⑤div grad

 これも④と同じように考えることができて、$$\nabla\cdot(\nabla T)=(\nabla\cdot\nabla)T$$としてしまっていい。すなわち、$$\nabla\cdot(\nabla T)=\nabla^2 T$$である。


 以上である。割と自明っぽい。説明の分量とラプラシアンの導入的に④と⑤を先に持ってきたほうがよかった気がするが、面倒なのでこのまま投稿する。

【ベクトル解析】div, rot, gradの組み合わせ

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