春休みなので作った。ざっくりした経緯は以前書いたこの記事を見てほしい。


 

・1年半越しに暴かれた設計不良

 春休みになり、1年半ほったらかされた不憫な基板とパーツがようやく組み立てられる時が来た。ただただはんだ付けするだけ。

 見た目はいい感じだ。スピーカーを繋いでみると...

 ザーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 左チャネルから無入力で60mVp-pのホワイトノイズが出ていた。音を鳴らすとノイズのみならず高調波まで出てくる。

 これは左右チャネルに250Hzの正弦波入力を入れた時に左チャネルから出てきた音のスペクトルである。ばっちり5次高調波までピークが立っている。数日間はこの問題に困らされた。

 いろいろ試しても何も変わらず、やけくそであちこち触っていた時のことである。右チャネルの入力に触れると左チャネルのノイズが小さくなることに気づいた。どういうことだと思いながら右チャネルにだけ正弦波入力を入れて左チャネルから出る音を聞いてみると、あらびっくり。

 繰り返すが、入力は右チャネルにしか入っていない。だが、左チャネルから歪みまくった音が出ているわけである。つまり、基板のどこかで右チャネルの出力を左チャネルの入力が拾っていることになる。
 理屈が分かってしまえば問題個所の特定は容易かった。ばっちり左チャネルの入力と右チャネルの出力が並走している部分があった。1年半前の自分は基板設計時になんで避けなかったんだろうか。

・基板再設計

 小さい面積に押し込んだからこういうことになってしまったわけだから、できる限り基板の面積を広く取り、入出力を極力離して基板を再設計した。

 その他、前の基板で問題があった箇所も修正した。部品の寸法があってなかったり、固定用の穴が開いてなかったりとかである。前回と同じくPCBwayで注文し、今度は送料をケチらないでDHLで発送してもらった。1週間とちょっとで届いた。


 
 梱包の状態も良好だ。さっそく開封する。

 スペースがめちゃくちゃ余ったのでシルクで画像を印刷してもらった。そこそこの仕上がり。

・回路図と部品定数

 ここで回路図と部品定数を掲げておく。基本的にデータシート通りではあるものの、一部改変がある。

回路図内の記号 部品名 定数
L7805CV 三端子レギュレータ 出力5V
CRI, CRO 三端子レギュレータの発振防止コンデンサ 0.1μF
VR 2連ボリューム(音量調整用) 10kΩ Aカーブ
CI 入力カップリングコンデンサ 2.2μF
RI 入力抵抗 22kΩ
RF 反転増幅の帰還抵抗 22kΩ
ROFS DCオフセット調整用抵抗 1MΩ
RL, RH DCオフセット調整用抵抗 4.7kΩ
POTL, POTR DCオフセット調整用ポテンショメータ 20kΩ
RREF バイアス抵抗 8.2kΩ 1%
CA, CS, CSW デカップリングコンデンサ 0.1μF
CSWP デカップリングコンデンサ 220μF
CD チャージポンプの入力コンデンサ 0.1μF
CP チャージポンプの出力コンデンサ 1μF
DH, DO ショットキーバリアダイオード
LO 出力コイル 10μH 3A
CO 出力コンデンサ 0.47μF
CZ Zobelフィルタ用コンデンサ 0.22μF
RZ Zobelフィルタ用抵抗 10Ω 1/2W
CDO 出力コンデンサ 0.01μF

なお1,5,6,15,18,30番ピンはNCとしてどこにも接続しなくてよい。むしろ、6,18,30番をNCにしたのは何かしらの出力を簡単のため省いたものであるので、どことも接続してはいけない。

・パーツ紹介

TA2020

 アキバの若松通商で1283円だった。1年半前に買ったものと比べて扱いが丁寧になっていてきれいなものが手に入った。まだ何個か在庫がありそう。むしろどこから在庫を調達しているのかが謎だ。

3端子レギュレータ

 L7805CV. アキバの秋月で30円。

電解コンデンサ

 秋月で買った。入力カップリングコンデンサにMUSE ES @15円を使ってみた。他はルビコンの電解コンデンサ @10円。

フィルムコンデンサ

 秋月で買った。緑がメタライズドポリエステル @40円、赤がメタライズドポリプロピレン @30円、白がただのフィルムコンデンサ @10円。

ショットキーバリアダイオード

 これも秋月で。11EQS03L. 10本140円。順方向電圧0.45V.

ポテンショメータ

 これも秋月。@120円。

セラミックコンデンサ

 アキバの千石で10本100円。ちょうど10本使うので非常に都合がいい。

コイル

 千石で @90円。φ11のラジアルリードで定格電流が3.6A. ディスコンになっているようで秋月には売ってないが、引き出しにたっぷり入ってたので当面心配はないと思う。

抵抗
 これも千石で揃えたが、写真を撮り忘れた。入力抵抗と帰還抵抗には金属皮膜抵抗@50円で気持ちばかりノイズ対策。精度が要求されるバイアス抵抗も金属皮膜を使った。残りは酸金抵抗@10円にした。

・組み立てる

 組み立てた。

 基板の設計をミスって5Vを供給する2番と8番が繋がっていなかったため最初は音が出なかったが、適当な部品のリードでジャンパしてやるとちゃんとクリアな音が鳴った。

 2番と8番が同じ側にあってよかった。逆側だったらメチャクチャ面倒だったと思う。


 結局最初に設計した基板は1年半ほったらかされた挙句、欠陥の烙印を押されてゴミになるという何ともかわいそうなことになってしまったが、ともかくちゃんと音が鳴るアンプができて良かった。
 オシロスコープが欲しい。

TA2020でデジタルアンプを作った

投稿ナビゲーション


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。